映像⇄身体
Category: 平行する交差展
奥野邦利[映像/映像学科教授]
19世紀後半、西洋文明によって生み出された映像は、具体としての現実を、空間的には2次元に、時間的には24コマであったり、30コマであったりに分解し、機械的に再統合させるもので、芸術の領域で抽象という言葉を使うと、何か意味不明なものを指しているかのように思われるけれど、映像とは、いわば自動抽象表現装置によって表象するイメージと捉える方が自然だ。あえて乱暴ないい方をすれば、映像は具象ではなく抽象なのだ。だからこそ、電子工学の飛躍的な進歩によって、あらゆる情報を0と1のデータに交換可能な今日、現実とイメージとの境界は益々曖昧になり、その曖昧さが現実を浸食しているといって差支えない。
僕のように、日々映像のことを考える人間にとって、最終的に分解することのできない身体を使った表現というのは、実際とても興味深いもので、今回、パフォーマーのじゅんじゅんさんと作品を作れたことは、とても刺激的だったし、その結果として、プロジェクトに少しでも意味をもたらしたならば嬉しい。