アートマネジメント講座 #006: ソニフィケーション
#006
ソニフィケーション
2014.11.27 (thu)
講師:寺澤洋子
[筑波大学助教]
■講座概要
今回のアートマネジメント講座は,テクノロジーを中心にすえて,音楽とのインターセクションを探るというテーマであり,私の研究領域であるデータ可聴化に ついてレクチャーを行った。まず歴史的な背景を紹介し,学問領域のあり方と,最新の研究成果のレビューを行った。そのうえで,科学技術としての側面,芸術 的表現としての側面について考察を深めていった。データ可聴化を行う際には,プロジェクトの目的は何か,ターゲットとするクライアントは誰か,といったことが,音のデザインを決定づける要素となる。その点についても触れ,科学的応用と芸術表現では,デザインにどのような変化があるかを実例と共に示した。
①聴覚の空間性
②動きの音として表現
③動的データ処理
④ソニフィケーション
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■講演者プロフィール
電気通信大学電子工学科・同大学院修士課程電子工学専攻修了。スタンフォード大学音楽学科CCRMA修士課程・博士課程修了。 Ph.D. (Music). スタンフォード大学 Centennial TA Award(2006),パリ国際芸術都市アーティスト・イン・レジデンス(2007),IRCAM訪問研究者(2007),AES教育財団ジョン・アーグル記念奨学金(2008),IPA未踏スーパークリエータ(2009)。先端芸術音楽創作学会運営委員。International Community for Auditory Display, Board Member.
アートマネジメント講座 #005: インスタレーション
#005
インスタレーション
2014.11.13 (thu)
講師:山元史朗
[日本大学芸術学部非常勤講師]
■講座概要
アートセンターの設立の裏側や地方で行われいる大規模なアートイベントの実例を紹介した。主にYCAM、札幌国際芸術祭、道後オンセナート、文化庁メディ ア芸術祭地方展などを中心に地方自治体主体で行われる文化事業の問題点や今後の課題、展望などを実際の現場に係わってきた立場から考察した。
①ファシリテーション
②YCAM
③メディア芸術祭
④空間演出.
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■講演者プロフィール
1970年大阪生まれ。筑波大学芸術研究科修了。岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)の設立時助手、山口情報芸術センター(YCAM)の開館準備室からの勤務、日本科学未来館の技術スタッフを経て現在フリーランスの展示技術者。国内外の大規模なアートプロジェクトや展覧会にテクニカルディレクターとして多数従事。
アートマネジメント講座 #004: サウンド・アート
#004
サウンド・アート
2014.10.30 (thu)
講師:安野太郎
[日本大学芸術学部研究員]
■講座概要
「ロボットの音楽とそのセルフマネージメント」
ロボットとは人間の身体機能の拡張であるという前提から、古今東西様々な試みが行われているロボットによる音楽を、拡張の指向性(どんな方向に拡張しているか)を軸に比較分析した解説を行った。
また、私は作家として自らも音楽演奏ロボットの制作、作曲を実践している。ロボットの制作においてはメディア芸術のシーン、作曲においては現代音楽のシーンと、私の活動は視点によって扱われるシーンが変化する。そのような若干曖昧な自分の作品をどのようにセルフマネージメントしているかの紹介も兼ねて、自作の最新作の解説も現場からの視点で行った。
①演奏とテクノロジー
②作曲とテクノロジー
③見せる音楽
④ゾンビ音楽の理念
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■講演者プロフィール
1979年生まれ。作曲家。代表作は映像に映ったものを言葉で描写していくパフォーマンス『音楽映画』シリーズやサーチエンジンで検索されたピアノ曲を全て弾くコンサート『サーチエンジン』、『ゾンビ音楽』等。平成20年度(第12回)文化庁メディア芸術祭 審査委員会推薦作品 「サーチエンジン」、平成25年度(第17回)文化庁メディア芸術祭 審査委員会推薦作品 「デュエット・オブ・ザ・リビングデッド」。
アートマネジメント講座 #003: メディア・アート
#003
メディア・アート
2014.10.17 (fri)
講師:松村誠一郎
[東京工科大学准教授]
■講座概要
本講座では体験型インスタレーション作品の展示について、出展作家の立場から現場で発生する問題やその対処方法、設営作業の留意点についての講義を行った。私は2001年から「音とインタラクション」をテーマにした作品制作と国内、海外での展示を行ってきた。特に2010年より私が参加してきた「魔法の美術館」展はこれまでの総来場者数が100万 人を越える体験型メディアアートの展覧会シリーズであり、国内各地の国立・県立美術館、私営美術館、ギャラリーにて展示を実施してきた。現在も継続的に展 示が展開されているこの展覧会への参加を通して得られた私の知見は作家の立場のものであるが、アートマネージメントに携わる方々にも参考になるものと思われる。
①メディア・アートの現状
②情報テクノロジーの利用
③展示作品としての耐久性
④魔法の美術館
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■講演者プロフィール
慶応義塾大学環境情報学部環境情報学科卒業。株式会社セガ・エンタープライゼス(現 セガ)アミューズメントソフトウェア研究開発部サウンドセクション。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。文化庁新進芸術家海外研修制度およびポーラ美術財団海外研修プログラムの助成により、デンハーグ王立音楽院ソノロジー研究科ソノロジーコースに留学。東京大学大学院学際情報学府博士後期課程修了。東京藝術大学芸術情報センター助教を経て現職。東京藝術大学非常勤講師を兼任。
アートマネジメント講座 #002: 現代音楽マネジメント
#002
現代音楽マネジメント
2014.10.2 (THU)
講師:伊藤弘之
[日本大学芸術学部音楽学科教授]
■講座概要
2001年より2014年まで毎年、私は、福井県越前市で開催されている「武生国際音楽祭」に参加して来た。
この音楽祭は1990年にクラシックの音楽祭としてスタートしたのだが、2001年に作曲家の細川俊夫氏が「世界から武生へ、武生から世界へ」というスロー ガンを掲げ音楽監督に就任して以来、クラシック音楽を中心に据えながらも、先鋭的な現代音楽作品も積極的に取り入れるユニークなプログラミングで、国際的 に広く知られるものになっている。この点での評価により、武生国際音楽祭は、近年国際交流基金地域交流振興賞やサントリー音楽財団「佐治敬三賞」などを得 ている。私は2001年から2005年まで音楽監督助手としてこの音楽祭に企画のマネジメント側の一員として参加し、2006年から2012年までは「新 しい地平コンサートシリーズ」のディレクターとして、当音楽祭と並行して催される若手作曲家向けの講習会「武生国際作曲ワークショップ」とその中で行われるコンサートの内容の大部分を制作する立場にあった。
芸術音楽の中でもとりわけ利益に結びつかない側面の多い現代音楽が、いかにして、この音楽祭の中で継続的な存在の場を獲得して来たかについて、制作とマネジ メント上のノウハウ、および、問題点や今後の課題などについて、自らの実践を通して得た体験をもとに、一部映像も交えながら講義した。
①音楽祭
②企画立案
③コンサート運営
④武生国際音楽祭
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■講演者プロフィール
カルフォルニア大学サンディエゴ校大学院博士課程修了。博士号を得る。
芥川作曲賞などを受賞。サントリー音楽財団をはじめ様々な団体や個人から数多くの委嘱を受け、管弦楽、室内楽、独奏、合唱から子供のための音楽まで幅広く作曲。作品が国内外で頻繁に演奏されている。出版楽譜やCD録音も多いが2枚目の自作集CDは特に好評を博している。作曲と教育活動以外に、現代音楽企画のプロデュース活動も精力的に行っている。
アートマネジメント講座 #001: ガイダンス/サウンド・テクノロジー
#001
ガイダンス/サウンド・テクノロジー
2014.9.11 (thu)
講師:川上央
[日本大学芸術学部音楽学科教授]
■講座概要
[ガイダンス]
本年度は、事業コンセプトを「展示できる音楽」におき、アート・テクノロジーを活用できるマネジメント人材の育成のために、6回のアートマネジメント講座と、芸術論講座、そして大学内での実践的な展覧会を行います。コンサートや録音だけが音楽鑑賞の楽しみかたではないという観点から、アートマネジメント講座においては、メディア・アート、サウンド・アート、音楽情報処理、ソニフィケーションといった音楽に関係する多角的な分野からも、各領域の第一人者に講義を行っていただきます。
講義テーマ:サウンド・テクノロジー
①電子音響
②録音
③編集
④サウンド・プログラミング
■講演者プロフィール
日本大学大学院芸術学研究科中退・博士(芸術学)。2005年フランス国立音響音楽研究所サウンドデザインチーム招聘研究員。これまでに、湯浅譲二氏の電子音楽のリアリゼーション、フランス国有鉄道モンパルナス駅の誘導音デザイン、国内電機メーカーのエレベータや自動車関係の音のデザインなどを手がける。日本音響学会音のデザイン調査研究委員会幹事、日本音楽知覚認知学会理事。