相対性
Category: 平行する交差展
川上 央[サウンドデザイン・音楽学科教授]
オープンな舞台でのパフォーマンス、それを移動しながら体験する鑑賞者、このことから空間の音は、聞かすためではなく、空間の空気感を作り出すことが重要となります。高層ビルの巨大な写真においては、遠くから摩天楼の都会の空気感が感じられるように、また、3面のスクリーンに流れる波の映像はその動きを感じられるようにサウンドを構築しました。パフォーマーの発する言葉は逆に人間性を強めるため、トータルセリーによって合理的に言葉の長さやアクセントをコントロールしました。
音は振動によって生じます。この公演では振動の質や距離、空間配置などについてこだわりました。もし音に意識を持てば、その振動の元のイメージを持つこと ができます。つまり、鑑賞者が主体的に音をアフォーダンスとして、空間の物質性をイメージできるのです。見えていないものを想起させることができるのが音 ですので、劇場も音によって様々な空間に変化させることが可能になります。