プロジェクトにおける「不在」
大澤未来[広報計画/ディレクター・アシスタント]
アート・マネジメントとはいかなるものか。それは、いつどのようなケースであっても、普遍的な問題として、多くの人間の時が交差するという課題があげられる。
本プロジェクトには、ディレクター・アシスタントという立場で携わった。創るものの心理は、創るものにしか図り得ない。多くの参加者の意思を、どのように翻訳していくか。未開拓の仕事であり、不安も入り混じる中でのスタートとなった。
本プロジェクトに参加するにあたり、自身が最も意識していた点として、間(ま **ルビ)を読むという行為がある。アーティストである先生方をはじめパフォーマー、テクニカルの方々など数多くの人々がひとつの作品にむけ同じ場所で時を過ごす。全ては参加者の日常の延長にあり、個人がもつ時間の中でプロダクションを創りあげていく。プロダクションは常に動き、変動しているが、常に参加者全員が現場にいるとは限らない。人は流動的に入れ替わり、来たり、来なかったりする。そこに居ない参加者が、その間をどのように過ごしているのか。再び現れる際、どのように対応するべきか。「居ない」という空白ともいえる時間を休符として考える。どのタイミングで、どのような言語を用いて他者に他者の意思を伝えるのか。早すぎても、遅すぎても本来の意図からかけ離れてしまうからこそ、間を読むことでプロダクションの流れを止めないよう心がけた。
そうした中、ディレクター・アシスタントという立場において、ひとりのプロジェクトメンバーとして自分自身の休符ともいえる間(ま)をいかにコントロールするか。多領域にわたり交差する意見に耳を傾けるためには、まず自身を客観視しなくてはならない。そのためには、自分自身に余白をつくることが重要である。その間(ま)をコントロールできてこそ、然るべきタイミングで拾うべき言葉を見つけ、核心となるキーワードを柔軟に繋ぎ合わせることができる。
インターセクション・プロジェクトは、1年間を通し多くの人々の時が目まぐるしく交差したに違いない。