幾何学と写真

Category: 平行する交差展

田中里実[写真/写真学科専任講師]

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幾何学とは図形や空間の性質について研究する数学の分野である。都市風景とはまさに幾何学を具現化したものである。
写真はその誕生以来この空間を切り取る作業を繰り返してきた。その歴史を振り返りながら新たな気持ちで現代の都市風景をある画角に収めると、技術の進歩と人間の退化がその中に閉じ込められているような気がしてならない。古代から用いられて来た幾何学は今後どのような世界を私たちに見せてくれるのだろうか。それは希望なのか破滅なのか。 
都市風景は私にとって美しいものである。と同時に不気味に感じるものでもある。美しく感じるときは幾何学的に見える。不気味に感じるときは自然が何かを語りかけてくる。今回撮影した都市風景はこのどちらも受け入れて撮影を試みた。その感情はまさに平行する交差点であった。