アートマネジメント講座 #004:
クリエイティブプロセスの配信とアーカイビング

Category: アートマネジメント講座

#004

クリエイティブプロセスの配信とアーカイビング

第1回 2013.11.20(wed)/   第2回 2013.11.23(sat)/  第3回 2013.01.28(thu)/   第4回 2013.12.05(thu)

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講師:米原晶子
にしすがも創造舎チーフマネージャー

 

■講座概要

にしすがも創造舎を中心に創作活動の過程を記録・発信する事例を紹介しつつ、

アーカイヴやアウトプットを行う際の目的・手段・効果についても整理する。

その上で、このたびのインターセクション・プロジェクトの趣旨をあらためて理解し、

どのようなターゲットに向けて情報の配信を行うべきか、発信する対象や伝達する項目を整理するとともに、

具体的な広報戦略の組み立て方についても検証していく。
 

 

テーマ1:クリエーションの記録と発信

にしすがも創造舎を中心に創作活動の過程を記録・発信する事例を紹介する
アーカイブやアウトプットを行う際の目的・手段・効果についても整理する

テーマ2:Intersectionの記録と発信を考えるディスカッション

受講生が取り組んでいるプロジェクトにおいて、どのような記録や発信が必要か、
またそれらを実現するための課題や実施後の効果を検証する

テーマ3:Intersectionショーイングの広報戦略会議1

他のプロジェクト・企画の広報展開を分析する
2月に開催するショーイングの広報に関して、発信する対象や伝達する項目を整理する
〈企画概要・ビジュアルイメージ・メッセージなど〉

テーマ4:Intersectionショーイングの広報戦略会議2

前回のディスカッションを元に広報戦略の具体的な方法を考察する
動員効果及び対費用効果から、広報業務の優先順位を議論する
 

 

■レビュー

にしすがも創造舎は、日本の社会現象の一つである廃校をアートの力でどのように生かしていけるのか、再び人が集うためにはどうすればいいのか。その場所を常に模索している。米原さんは、この場所で実施される様々な企画の目的にあった人材を探すチーフマネージャーとして働いている。またここでは、本来、劇場や美術館、ライブハウスのように機能をもたない教室、体育館、校庭などの空間を使用し、アーティストが作品を送り出すまでのサポートも行っている。
サポート企画のひとつに米原さん自身がアーティストにインタビューを行っているものがある。作品とは無関係な作家自身に関することを聞き、記録、編集、配信をしている。米原さんは、何を配信すべきで何を配信すべきでないのか取捨選択する。この取捨選択の仕方によっては、アーティストが傷つくこともあり、逆にアーティスト自身の活力にも繋がる可能性もある行為である。しかし、この記録をすべて配信しないまでも、アーティスト自身が発言、認識することが重要であり、そこに関わる人間もその私情を知ることで、これからの活動や廃校という、劇場ではできないことを発想し有効活用するきっかけになりえるのである。
アーティストと社会の繋ぎ役を担うアートマネジメントの仕事は、内部の運営だけでなく、外部との関わりの中で活動を決め、企画し、アーティストやその場所の可能性を常に探りながら提供、運営、そして伝達していく仕事であるのだと実感した。[須田有希子]
 

 

■講演者プロフィール

明治学院大学文学部芸術学科卒業。学生時代より振付家・ダンサーのマネージメントや、美術館・舞台芸術祭などの現場で活動を行う。

2008年、NPO法人アートネットワーク・ジャパンに入社。海外の舞台公演招聘や文化施設の運営、アウトリーチ企画に携わる。

急な坂スタジオ勤務を経て2011年より、にしすがも創造舎チーフマネージャー。同施設ではアーティストの創造環境をサポートすると共に

文化芸術と地域社会とを結ぶ企画を展開している。